NO.8

真中に塔のある写真 寺を出て、先程見えていたあの72メートルの塔に登る。
塔には階段があり、下から3分の1くらいの高さのところにぽっかりと穴があいている。中は祠のようになっていて、一種異様な匂いがした。かび臭いような饐(す)えた臭い。
供え物等がしてあるのが見えた途端に、上のほうでカサカサ飛び回るものが居るのに気が付いた。
蝙蝠が2匹が見えた。
うを〜!下には糞らしき物も落ちている。
観察もそこそこに外へ出る。祠からすぐ出たところの踊り場の左右に、バルコニーへ出る更なる小さな階段があった。
レンガつくりの階段を上がると、回廊のようになったバルコニー。。。
そこに広がる景色は、本当に溜息をつくほど美しい。

アユタヤの王朝が全盛を極めていた頃、この遺跡の数々は全て黄金色に輝いていたらしい。
深い緑の心休まる色と、渡る風が何とも言えない爽快な気分にさせてくれる。
悠久の歴史が絶えることなく続き、今こうやって生きている私たちでさえ、歴史の一部なんだとつくづく思い知らされる。
この一瞬の刹那がいとおしく、この風景がいとおしい。
山田長政がこの地の空気を吸って、生きていた頃 日本は封建社会。城には天守閣が造られた。
それは領地を敵から守る為に監視し見下ろすためのものだったはず。高い天守閣の意味はそこにある。
アユタヤでは仏塔としてこの高さのものを造った。
目的の違いはあれ、高いところから見下ろす景色の素晴らしさは、言葉では言い表せない程美しい。
けれど、それはあくまでも平和な世界に生きることができる、現代であればこそ。。
(5歳以下の幼児が1日に3万5千人以上死んでいる現実の世界の厳しさに、ほんのちょっと目を瞑って。。)


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