No.7
文芸復興とメディチ家
花の都、フィレンツェ。英語ではフローレンス、当に「花」の意味です。
私の憧れの地であり、ルネッサンス発祥の地です。

この写真の川はアルノ川、向こうに見えるのが14世紀半ばに造られた、ヴェッキオ橋。
そして、ここ(私がカメラを構えている場所)の右手にはウフィッツィ美術館があります。
ウフィッツィとは英語でofficeの意味で、この街で壮大な富を有した金融業者メディチ家のオフィスだったところです。
彼らはアルノ川の左岸にあるピッティ宮殿から、この右岸のウフィッツィ宮殿に通うために、ベッキオ橋に専用の回廊を造り、一歩も外に出ることなしに毎日出勤していました。

ルネサンスはメディチ家なしには興り得なかったでしょう。それまで、絵を描く人々は職人としか扱われなかったのが、メディチ家初代当主によって、芸術家として認められ保護されるようになったのですから。

予約をしてあったために、殆ど待つことなしにウフィッツィ美術館には入ることができました。
1時間待ちは覚悟しておかなければならないそうですが。とにかく、この美術館にある絵の数々は誰もが観たいと思うものばかり。

館内は長い歴史をと繁栄を偲ばせ、機能的で美しく、長い廊下には大理石の彫像が飾られておりました。
しかし、この彫刻の数々が全てコピーだと言うのにはビックリします。とてもそんな風に見えない重々しさがあります。
それもそのはず、全てがローマ時代に造られたコピーだそうですから。

有名なボッティチェルリ の「ビーナス誕生」はパソコンのソフトillustratorの画面で時々見ていますので、本物に出会えて特に嬉しく思いました。

他にも名だたる巨匠達、ミケランジェロ、ラファエロ等の絵画がところ狭しと展示されています。

レオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」は生物や科学を勉強した彼の緻密さが際立っていました。
木々の葉や草にも、植物を研究した者にしか描けない図鑑のような正確さがあります。マリアの前に置かれたテーブルはどの角度から見ても、見る者の方を向いているように錯覚してしまうという話ですが、実際に自分の目で確かめてみました。確かにその通りなのです。考えられた構図の天才の絵に、嘆息ばかりが出てきます。

歴代メディチ家の肖像画の中に、大きな指輪をはめたギョロ目のローマ法王の絵がありました。
法王とその贅沢な装いは違和感があり、その風貌もそぐわないので、首を傾げてしまいました。しかし、当時の教会のステータスは大変なものでしたから、メディチ家がその財を持って、法王の椅子を手に入れようとしたのは想像に難くありません。
そして、この肖像画の人物が免罪符を発行して、後に宗教改革のきっかけを作ったローマ法王だと聞いて、なるほどと納得しました。さもありなん・・法王と言うより、金融業者の面持ちにしか見えませんでしたもの。

短い時間での拝観は何となく消化不良の感が否めず、もう一度ゆっくり来てじっくり観たいという思いが募りました。(注:館内は撮影禁止でしたので、絵画の写真はUffizi Galleryよりお借りしました)

いつか、また・・


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