No.12
ベネチアとベニスの商人
シェークスピアはイギリスの劇作家です。
私は「ハムレット」や「マクベス」などよりも「ベニスの商人」や「ロミオとジュリエット」で代表されるイタリアに深い関係のある作家と言う認識が強いのです。
それは、シェークピアの作品の中で「ベニスの商人」を一番先に読んだからに他なりません。

憎ったらしい悪代官を水戸黄門が成敗する、勧善懲悪の物語のような小気味良さがあるので、子供の私にとって、大好きな物語の一つになりました。
しかも、機転を利かせてアントニオを強欲な商人から救ってくれたのが、ポーシャと言う可愛い女性だったのですもの。

船の上からベネチアの街並みが見え、その中に鐘楼が見えると思わずため息がでました。その手前の白い建物が、ドゥカーレ宮殿です。あそこに、ポーシャが裁判長に扮して、シャイロックをギャフンと言わせた法廷があるのです。

水の都ベネチアはラグーナという干潟にできた人工島の上にあります。
干潟を埋め立てて作った118にも及ぶ島々は、敵襲をできる限り避ける事ができる水に囲まれた堅固な要塞でもあります。
歴史的にもビザンチン文化とイスラム文化が融合する、エキゾチックな海上都市です。
「ベニス」と聞いただけで、数々の映画のワンシーンを思い浮かべてしまいます。

港に近づくと水上バスが見えました。市民の足は船しかない?のだと実感します。
船着場からドゥカーレ宮殿等のあるサンマルコ広場に向かう途中で、ゴンドラがたくさん見えました。間近に迫った海水を見て、地盤沈下に悩むベネチアの記事を何かで読んだことを思い出しました。
こんなに水がすぐそこにあると、怖い感じがします。
地震の時や大潮の時など心配だと思います。。


更に足を進めると、橋の上から有名な溜息橋が見えました。左がドゥカーレ宮殿、右側が牢獄です。
今までにこの堅固な牢獄を破ったのは、あのカサノバだけだと言うことですが・・・
命がいつ果てるのか分からない、暗黒の牢獄へ導かれる囚人達が、宮殿から牢獄へ渡るのに、わずかに見える外の景色を見て溜息をついたから、「溜息橋」と言う名前がついたそうです。
歴史がそのままさりげなく存在するのが、不思議な感じです。



ドゥカーレ宮殿の荘厳さは筆舌に尽くし難いので実際に目で見るのが一番です。
宮殿の大広間の大きさや、一面に描かれたフレスコ画など圧巻としか言いようがありません。
写真をたくさん撮ったのですが、フラッシュ撮影禁止だったので手ブレが起きていて、ピンボケ写真ばかりになっていました。

そしてそして、私が一番興味があったのが、ベニスの商人の舞台である法廷です。(ビデオから取り込んだ画像)
政治犯はこの法廷の4番目板壁の隠し扉から溜息橋を渡って、牢獄に収監されました。

法廷は壁画に覆われ、色彩も窓からの明かりに美しく映えていました。右の写真もビデオから取り込んだものです。

シェークスピアはイタリアに来たことはありませんでした。彼の想像上のベネチアはいったいどんなだったんでしょう。
ベネチアの持つ独特の香り、異国の香り、水の香りそれをどう感じとっていたのでしょうか。
聞こえてくる、波の音や潮の匂いはカモメの鳴き声や人のざわめきを際立たせてくれるような気がします。
車がないと聞こえてくる音が違うのです。
きっとシェークスピアの時代も、これと同じベネチアだったはず。
水の都は美しく、静かです・・・

back next